親の写真を撮るということ
ふと思ったんです。
親が子の写真を残すことは多くあるけれど、子が親の写真を残すことってすごく少ないのではないかと。
それは私自身にも当てはまります。
フォトグラファーになってから、これまでにたくさんのご家族の姿を撮影させていただきました。
でも、自分の両親の写真って本当に少ない。
もちろん日常のスナップとして親が写っている写真はあるにはありますが、フォトグラファーとしてしっかりと向き合って撮った写真は無いに等しいかもしれません。
母が写真を撮られるのが苦手というのもありますが、なんとなくお互いに恥ずかしいっていうのも理由のひとつでしょう。
先日、母がめずらしく「ミモザの前で撮ってもらおっか」と言いました。
出勤前のほんの僅かな時間でしたが、私は初めてフォトグラファーとして、ファインダーを通して両親と向かい合ったのです。
その時の気持ちは不思議なものでした。
もちろん照れくささはあります。それでも平静を装っていつもの調子で撮影していたのですが、実際はいつもとはまったく違っていました。
親を見ると同時に自分自身のことを見ていたように思います。
写真は時に自分自身を写す鏡になる、というやつです。
私は決して出来のいい息子ではなかったし、迷惑もたくさんかけてきました。きっと失望もたくさんさせたことでしょう。
今までの色々なことが頭の中を駆け巡り、ファインダーの向こうにある笑顔とは反対に、泣きたい気分になりました。
親が子の写真を撮るのは愛情の証であり、子が親の写真を撮るのは自分自身を見つめることである。
と何やら名言っぽいことを思った1日でした。
親の写真、撮っていますか?
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